都庁職員は週4回テレワークして週5回出勤している

あらかじめ言っておきますと、週4回テレワークして週5回出勤していたのは2020年4月ごろの話で、2020年12月には週3回テレワークして週5回出勤していた人がいたそうです。悪化してるじゃん

 

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1/4は都庁はテレワークで閑散としていた……という報道がありましたが、これは1/4はテレワークでという事前通告があったからです。年始の休暇にくっ付けて有休を取った人も多いでしょう。

この記事から受ける、都庁はすでにテレワーク7割を達成している優良企業!……というイメージはどうやら実態とは乖離しているようです。

 

〇数値目標と半日テレワークの悪魔合体

第一波の感染が広がった2020年3月、「原則テレワーク勤務化」せよという通達がなされました。

この通達には「終日又は午前・午後いずれかの形態によるテレワークの実施」という不思議な但し書きが添えられており、これが今日まで続く奇妙な半日テレワークの始まりとなりました。

 

都は他の自治体に比べてテレワークを積極的に推進しています。全職員に週3回(できれば週4回)のテレワークをせよ、と数値の目標を掲げました。

 

しかし、現場にはテレワークしづらい様々な理由がありました。特に庁舎でない場所で働いている人はパソコンの数すら不足して苦労しています。

イントラネットワークにつなげる端末の数が限られていた部署があり、課によっては1台しかないPCで午前にテレワーク、それを出勤して持って行って、午後の人にパソコンをバトンタッチというラリッた勤務体系を実行していたそうです。こうすることで1台のPCで2倍のテレワーク回数目標を達成!という一休さん並みのトンチです。

1日まるごとリモートワークにすれば1時間以上の通勤時間もカットできるし、通勤や外食での人との接触機会を減らせると思うのですが、なぜ回数の数値目標だけを追い求めてしまうのか……

忙しい管理職は2時間だけ家で仕事して、その後に時差出勤してテレワークしたことにしていたそうです。僕らの思っているテレワークと違う。

 

 

〇都のテレワーク環境自体は進んでいる

現状、本庁にあるPCではVDI環境が整備されているらしく(VDIだと思うのですが、聞いた相手が技術に疎くいまいち確証が持てませんでした)、ノートPCを持ち帰りさえすればほとんど全員がテレワーク可能だそうです。

2019年にはすでにテレワーク環境が整備されていたとのことで、コロナ禍以前は妊婦や育児中の女性が使用していました。まさか感染症が流行るなんてことを想定していたとは思いませんが、設備投資を進められていたのは幸運だったと思います。

部署によっては、普通の(日単位での)テレワークを実施できている課もあり、テレワークをするかどうかは管理職やチームの雰囲気に依存している部分も大きいようです。

 

ただ、テレワーク可能なPCが非常勤(会計年度任用職員)には配られていない、という問題もあります。持って帰れる仕事が無いのに、テレワークしたテイにはしないといけないので、ただの休みになってしまってる人もいるのだとか。

 

また、PCはあるのですが会社用の携帯電話が配られていないので、電話連絡が必要な際は個人の電話を使っているそうです。でも全員に個人の電話番号教えるわけにいきませんし、回数重ねると料金もかさむので、結局出社して会社の電話で問い合わせを受けるということになりがちなんだそうです。ダメじゃん。

 

〇緊急事態宣言解除後、緩められてしまったテレワーク

一回目の緊急事態宣言解除後、テレワークの徹底はさほどなされず、時間経過とともに緩んでいきました。

テレワークの環境自体はかなり整っていたと言えると思うのですが、やはり対面の方が仕事がしやすいであるとか、電話や来庁での問い合わせに対応するために出社するといった必要があったようです。

都庁が宣言解除後にテレワークを徹底できなかった理由(機材不足、コミュニケーションの難、接客業務の必要性、部署の雰囲気、セキュリティの問題)は全部そのまま民間企業でテレワークしづらい理由と同じなので、『自分たちだって出来ないんじゃん』という気持ちが拭えません。機材の準備がなされていただけに、意識の問題が大きいというのも残念です。デスクワーク主体である以上、他の業態に比べればテレワーク自体がしやすいはずなんです。

無理にでもテレワークしなきゃ、と出社を制限させる雰囲気が生まれるというのが緊急事態宣言の非常に大きな意義だとは思いますが、10月だって11月だって12月だって、東京ではずっとテレワークをする必要があったのです。

 

〇第二回の緊急事態宣言以後はどうなる?

二回目の緊急事態宣言が発令されている2021年1月現在、テレワーク率は急激に高まっているようですが、緊急事態宣言が解除されたらまた元通りになりかねないというのが辛いところです。緊急事態宣言ってその時だけ何かすればいいという類のものではないのですが。

現在掲げられている目標、『出勤者数の7割減』はかなり苦しい目標です。接客業務に必要な人員以外は全員在宅ぐらいでないと成立しない数字だと思います。

都は「テレワーク緊急強化月間」を設け、一般企業にもテレワークをするよう呼び掛けていますが、そもそも都職員が『出勤者数の7割減』が出来るのかな?と緊急事態宣言中であっても甚だ疑問です。それが出来る企業は半日テレワークとかいうバグ技を編み出しません。

 

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最後に。都庁の悪口をさんざん言ってきましたが、公務員の中ではなんだかんだ都庁が一番頑張ってて、テレワークの設備すら足りていない他の自治体は普通に出勤してたりします。ダメじゃん。