○目次
・現時点での来場日時予約からの混雑状況(来場者向け)
・会期中の長期的な入場トレンド予想(クソ長文考察)
○来場日時予約からの混雑状況
3/23時点での来場日時予約の埋まり具合を表にしました。どの時間帯も空いている日は青、9時台東ゲートが混雑になったら緑、10時台が混雑し始めたら黄色…というように色分けしています。日が近くなると予約も増えますので、5月などは今後もっと混雑すると思われます。
しばしば、来場日時予約の以下のような画面を見て、「万博ガラガラじゃん!」などとおっしゃる方がいますが、「混雑が予想されます」が表示される基準がかなり甘いだけだと思われます。実際は同じ「空いています」の表示でも日によってかなり混雑状況は異なります。
私の推測に過ぎませんが、東西ゲート合わせて約5万人/時程度の予約を受け付けているものと思われます。ですので、大雑把にBでは5万人、Cでは10万人、オレンジのDでは15万人程度の来場があるのではないでしょうか。
ポイントは、Bの緑色の日ではパビリオン予約の落選がそれなりに発生しはじめるということです。パビリオン予約の枠は来場者数に比べてかなり少ないらしく、東ゲートの9時台だけが混雑表示になっている日でもパビリオン抽選で外れることがしばしばあるようです。
B以上の混雑日では、第1希望は行きたいパビリオンの遅めの時間帯にしておく、第5希望には滑り止めのつもりで海外パビリオンを登録しておくなど、当選しやすくする工夫が必要になります。
○会期中の長期的な入場トレンド予想
ここからは会期中の入場がどうなるか?というのを長々と考察してみます。
まず、会期中にどれぐらい人が来るか、というのは万博協会側が予測を立てています。
が、これは現時点では予想として不十分だろうと思われます。
この予測値は
・愛知万博など他万博の来場トレンドを基準に(実績)
・前売チケット価格での来場者数平準化を成功させ(希望)
・合計来場者数が2800万人程度になるよう調整した(希望)
数字と思われるからです。
この予測は2022年に作られて以来、なぜか2024年12月の最終資料まで一切修正されませんでした。開幕券・前期券の販売実績を知っているのだから、どうにか修正したらとは思うのですが、輸送計画を立てる上では上限だけわかっていればOKということなのかもしれません。
来場日時予約の具体的数字を持っている協会では当然、現状で既にこのようになっていないことはわかっているはずです。
差異を生むであろう要因は以下の通りです。
①前売チケットが売れなかった
開幕券(4000円)や前期券(5000円)を会期中の一日券(7500円)よりも大幅に割り引くことによって、後半に伸びる客足を前の方にずらそうという試みがありました。しかし、前売チケットは企業向けを除いて全体的に販売不振です。大前提として、総来場者数が2800万人に到達するかは非常に怪しいと言わざるを得ません。
万博協会の予想では6月~7月前半の土日が駆け込みで混雑するようなグラフになっていますが、前期券が40万枚程度しか売れていないので7月までに来場を前倒すという行動は強くないと思います。
一方で、開幕券は4000円とお得感が強いためか2週間と短い使用期限に対して25万枚売れており、開幕券期間の土日は万博協会の古い予想以上に混雑する見込みです。
②混む前に早めに行きたい
期間限定の前売券と同じような効用を生むのが混む前に行きたいという心理です。一般には万博というのは内容が周知された後半から人気が出る傾向があります。その情報が報道・拡散され、万博というのは前半ほど空いている、と広く知られるようになったため、反発する形で、行くことが確定しているのならば早めに行こうというトレンドが形成されています。
今のところ、開幕日の4/13が最も混雑する日になりそうなのは、開幕券が安い上に、開幕当初は空くという情報によって来場を控えなくてよいという精神的な担保がされたからだと思われます。開幕券の枚数と来場日時予約者数を比較するに、来場日を問わない超早割券や通期パスを持っている人であっても、開幕券の対象時期に来ている人は多そうです。
③猛暑
万博協会の資料では、8月は盆前から混雑が始まり、夏休みの終わりにかけて増える……という予測になっていますが、これは猛暑の影響が小さすぎるのではと思います。
既にチケットを持っている人間は、暑さを避けるために5月や6月までには行こうという判断をしています。私の身の回りで万博に行く人に聞くと、暑さを避けたいというのはかなり大きなモチベーションになっています。
ここ数年の猛暑は本当に耐え難く、テーマパークの来場トレンドは大きく変わりました。USJやディズニーの混雑状況をまとめている本やサイトを見てみてください。真夏は閑散期です。テレビで毎日のように熱中症の危険が取り沙汰され、「不要の外出を控えて……」などとまで言われる中で、子供が夏休みだからといって、手放しにレジャー施設に行ける時代では無いのです。
すると、①前期券は売れなかったものの、既にチケットを入手した人は②混雑と③猛暑回避のために図らずも前期券と同じ期間のうちに行こうと平準化が達成されるのではないかと思います。
しかし一方で、猛暑は来場を後ろ倒しにさせる効果もあります。開幕後に評判を聞いてから行きたくなってきた日和見の客は猛暑が終わってから行こうというモチベが発生します。
あと、万博って中高年の来場者が多いので、盆はともかく夏休みだから増えるという予想も当たらないのではと思います。夏パスを子供に配るとのことですが、休みじゃない期間の平日は学生の遠足があるので、そこを差し引くと夏休みだからっていう理由ではあんまり増えてくれないはず。
④来場日時予約の副作用
パビリオンの抽選をするためには早期に日程を決める必要があったため、予定の立てやすさの面でなるべく近い日を選ぼうという気持ちも働いているかもしれません。超早割を企業割当で購入した関西在住でない大企業の社員などは、GWに来たいだろうなあと思いますし。そうすると、4~5月の土日というのは案外他の時期よりも混むのかもしれません。
これは来場日時予約の意外な側面だったのですが、ダイナミックプライシングのように、短い期間での混雑を平準化する機能がありそうです。来場日時予約をする際に、入場ゲートの混雑状況が見えますので、自分の行ける日程の中で空いている日を探そうという気になるのです。
また、パビリオン予約の枠を損したくないと思うと、購入日から2か月以上後の日時に後ろ倒すモチベが発生します。開幕後に予約無しでも人気パビリオンが楽しめるという評判が聞こえて来れば無視できる要素ですが。逆に、やっぱり予約が重要だということになれば、後ろ倒しにしたり、ちょっと無理してでも平日に分散するかもしれませんね。
⑤開幕後の悪評
これは開幕日のリアクション次第なのですが……
そもそも前売券が売れていない一因に、早期から費用や工期に対する批判があったのと、いざ1ヶ月前になっても工事中で報道が十分にできてないというのがあります。
開幕後にも海外パビリオンの工事が終わっていなかったら、流石に行くのを控えたくなるでしょう。個人的に、海外パビリオン併設のレストランに行きたいのですが、レストランだけは遅れて開業……みたいなこともあるのではと心配しています。どこも全然メニュー出してくれないんだもん。
また、その割に開幕日は混雑したという情報も知れ渡り、開幕後しばらく、混雑への反発でも人が少ない日が出るのではと推測します。
現状、開幕日である4/13は9~11時の入場は満員だけど、12時からの入場は空いています。その状況について横山市長は「開幕日であっても空い…昼からは入れる」などと発言しました。じゃあ、なるべく売上を多くするために、開幕日も12時から当日券を売るいう話になるんだと思うんです。
しかし、9-11時の来場予約が満員の時点でピークタイムの交通機関のキャパは限界です。そこに当日券を売ると、当日券目当ての客が普通に9時台にもくるじゃないですか。なんのために来場日時予約を作ったのかわからないほど混むと思うんですね。
コンビニでの紙チケット発売の時点で、万博協会が強く反発してルールを山盛り付けていましたが、それが売れなかったので更に緩和して現在の当日券の形になりました。当日券を売るのに石破総理まで持ち出したのは、来場日時予約を協会が死守したかったことの裏返しかと思います。
先ほど、私は東西ゲート合わせて約5万人/時程度の予約枠であろうと予想しましたが、これは来場者数に最大23万人を見込んでいることから逆算した値です。この程度は捌けないと、総来場者数の目標が達成できないよ、という値です。が、各交通機関の輸送能力を細かく見ていくと、3万人/時ぐらいでだいぶ限界であるように見えます。開幕日に特に心配なのが、駐車場の空きっぷりです。駐車場代を6000円とかなり高額に設定したために、自家用車での来場が抑えられすぎているように見えます。西ゲートの予約者が桜島駅シャトルバスに集中すると、数時間の待ち時間が発生する可能性があります。
杞憂かもしれませんが、私は開幕日の混雑をかなり心配しています。スタッフも客も慣れていない開幕日は、交通機関のキャパを超えて混乱を招く可能性があります。これが報道・SNSで拡散された場合、客足が遠のく方向に働くでしょう。
⑥高いチケット・ホテル・食事
現状で前売券の売れ行きは不調ですが、私は、大阪万博にはチケット購入状況に反映されない期待感というものがあろうと思います。それは、万博のボランティアや無料のテストランが高倍率だったことから察せられます。行きたいと思っている人間は潜在的には存在していると思うのです。
ただ、企業割当分を多く販売しすぎたせいで、それが一般販売向けの需要を食い尽くしてしまいました。タダなら行きたい、企業割当分のチケットが回ってくるかもしれない……行きたいけれども早く買って損をしたくないという気持ちは大いに働いているように見えます。
おかしなことに、ボランティアに応募した人数(5万6000人)は通期パスを購入した人数(3万6000人)を上回っているのです。正直、ボランティアに応募するような、手間を惜しまないバイタリティがあり、複数回万博会場に行ける立地の人であれば、通期パスを購入してしまえばよいと思います。しかし、3万円という金額が通期パスの購入を妨げているのでしょう。
前売券をもっておらず、開幕後の評判を聞いてから行こうとした場合、一日券は7500円もします。平日券であっても6000円です。この高いチケット価格は、来場者の伸びを抑制するのではないかと思います。
金額が高いと、満足度の評価基準も高くなります。同価格帯のUSJやディズニーと比較して、値段に見合った体験ができるか?というところは厳しく評価されるでしょう。
高いと1回行けば十分、という風潮になるかと思います。愛知万博の一日券は4600円でした。通期パスを買うほどではないけれど、回りきれなかったからもう一度行きたい、という程度の軽い気持ちのリピーターが払える金額としてはこれぐらいが限界ではないでしょうか。
また、大阪は観光資源が豊富であり、現在はインバウンドで多くの観光客が集中している状態で、ホテルの値段が高騰しています。私もGW期間中に大阪の宿を押さえましたが、ゲロ出るほど高かったです。行楽シーズンの10月になると、そもそもホテルが取れるか怪しいです。遠方からの来場は、金銭的に余裕が無いと厳しいでしょう。
それから、食事が高いのも懸念されています。ヤフコメでは「インバウンド向け、ぼったくり」などと言われていますが、私はあれは日本人向けで、単に経費が嵩んでいて店側もギリギリだったりするんじゃないかと思っています。
3850円のえきそばや高級コースは無視するにしても、1人前の軽食が1500円ぐらいからとお祭り価格にしてもやや高いと感じます。ディズニーでさえカレーを900円で提供してますからね。そうなると、夏パスを子供に配ったところで、フラっと寄れるところなのか?1度行った大人が通期パス買って何度も訪れたいと思うのか?とリピーターを作れるかというところでネックになると思います。
⑦通期パスのリピーター不足
さきほど愛知万博のチケットの値段を出しましたが、大阪万博の計画には、「愛知万博に勝つ」という前提がどこか見え隠れします。関西経済圏の方が中京より大きいため、同じ程度の盛り上がりをすれば、必然人口の分だけ大阪万博のほうが来場者が増えるだろう、というのが2800万人という数字の根拠ではないかと思います。
愛知万博との比較をするならば、通期パスによるリピーターの話をしなければなりません。愛知万博には、全期間入場券による来場者が非常に多く含まれています。
全期間券は44万枚ほど販売され、全期間入場券1枚あたりの平均入場回数は11回に上ります。つまり、愛知万博でのべ2200万人が来場したうち、実に500万人は、パスポートを使った熱狂的なリピーターなのです。
しかし、大阪万博の通期パスの売上は芳しくありません。3月時点での販売枚数は3万6000枚程度です。愛知万博での開幕前の全期間入場券の販売枚数は11万枚でした。70年万博に思い入れのあるシニア世代が退職してヒマになっていることを思えば、もう少し売れてもよさそうです。一方で、夢洲という立地は愛知万博に比べて通期パスを買うモチベーションを生まないように思います。近隣に住宅街がなく、散歩のついでにパビリオンを回るような人間がいないからです。
通期パスが売れなければ、愛知万博と同程度の混雑になるという前提は難しくなります。通期パスは電子チケットであり、必ず来場予約が必要になります。また、今でこそ緩和されましたが、発売当初は入場日時の制限があると発表されていました。このあたり、混雑緩和の観点から通期パスが使いにくいものになってしまったのも敬遠された理由かと思います。
要素を語っていたら長くなってしまいました。
時期別にまとめますと……
4月の2週間は開幕券の効果もあって意外と混む。が、なまじ混む日があると評判が悪くなって6月ぐらいまで日和見層の来場が遅れる。
5月はGWはかなり混雑、土日には企業割当分のチケットを持っている人がそれなりに来る。平日は学校の遠足を除くと客足鈍め。
6月、口コミが出回り、シニア層の来場が平日の入場者数を支え、平日と土日の混雑の差が小さくなる。
7月、学校が休みになり遠足が無くなる。猛暑のため、夜間券や通期パスでの短時間での来場が増え、来場者数自体は同じでも日中は混雑が緩和される。評判の上昇と猛暑が相殺して、全体的には6月と同程度。
8月、盆は流石に混むが、それ以外の日は6,7月と同程度。他のテーマパークでは長期休暇中は土日と平日の混雑がほぼ一緒という傾向が強まっているが、前売りが多い万博では、平日券の値段差があっても土日の方が多いのではと予想。
9月になってようやく猛暑が落ち着き、駆け込みが始まる。夏休みの終了による8月とのギャップは発生しないのではという予想。学校の遠足の時期の問題はあるのかも。土日は12時まで来場予約が満員の日が出始める。平日はまだギリギリ入れるぐらい。台風が来て休園すると来場日時の振替で阿鼻叫喚発生するかも。
10月、超混雑。購入済みのチケットを使い切るために平日も予約が埋まる。が、チケットをここで初めて買おうとする人は、来場日時予約が出来ず、チケットの購入自体を諦める。
総来場者数は2000万人程度なのではと予想します。
あと、USJのガイドブックに万博の来場予想が日単位で載ってるので紹介しておきます。私の予想に似ている部分もありますが、4月の入場が少なく見積もられているのと、花火大会のある日は来場が減るなど、USJの経験に基づいた予想がされているので面白いです。
USJ裏技ガイド2025
http://www.amazon.co.jp/dp/4331524272
この予想が当たるかどうか、半年後に振り返ってみたいですね。