2024年、かなり久々にディズニーシーに行った。前に行った時にはまだストームライダーが現役だったので、10年ぶりぐらいだ。
流石に浦島太郎になっているだろうと、行くにあたってネットで下調べすると「今のディズニーのシステムは複雑になっている……初心者には無理!」と脅してくる人がわんさかいる。そう発言している人が1人や2人では無かったので、私は生まれたての子鹿の如くプルプル震えながらパークに向かったのだが、実際に行ってみたらそんな複雑な仕組みではなく、拍子抜けしてしまった。
○そんなに難しくないと感じたわけ
アプリを使っての入場は初めてだったが、スマホひとつで入場できる仕組みは簡単で、紙のチケットが不要な分だけ以前より便利だとすら感じた。アプリを使っての各種パスの取得も難なく行えた。
というのも、アプリのシステムは既存の仕組みの組み合わせに過ぎないからだ。
チケットをオンラインで買ってQRコードでチケットを見せる、なんてのはコンサートと一緒。
レストランのモバイルオーダーは、パーク外のレストランのモバイルオーダーと一緒。
ディズニープレミアアクセス(DPA)とプライオリティパスはそれぞれ有料・無料のファストパス。
「ファストパスの時代は簡単で良かった……」と言う人を見かけたが、これはファストパスに慣れているだけで、ファストパスもそもそも少し難しかったろう、と私は思う。ファストパスがあるアトラクションを知っておかなければいけないのは今と一緒だし、再取得時刻周りのロジックは、場合分けの必要なちょっとした数学の問題みたいだし。
○とはいえ難しいと感じても仕方ないと思ったところ
・ファンタジースプリングスの入場ルール
直感的でないな、と思ったのはディズニーシーの新エリアであるファンタジースプリングスの入場ルール。入場用のチケットが存在するのではなく、ファンタジースプリングス内のアトラクションのスタンバイパスを取得するとエリアに入場できるという仕組みである。(※2025年1月より、入場自由に変更)
新エリアなので入場制限が必要だというのは理解するが、アトラクションに並んで待つこと自体に整理券が必要で、その整理券が入場の権利になっているという仕組みはやや複雑に感じた。
・○○パスが複数ある
似たような名称のカタカナが並ぶと、脳が理解を拒む。プレミアアクセスとプライオリティパスなど、同じ音で始まる用語が複数あるのは実際ややこしいと思う。
不思議なもので、これらのパスの名称は一回自分で使ってみれば自然と覚えられる。ゲームのルールを口で説明されるより、一回プレイした方が早いアレである。
○なんでみんなそんなに難しいことにしたい?
・本当に難しいと思っている
先にあげたように、新しい用語や入場ルールが増えたのは事実だ。行きさえすれば本当にすぐに使えるようになるのだが、下調べの段階で難しさを感じるということはあろう。
・首都圏在住者の元々のハードルの低さ
私は首都圏の生まれではないため、ディズニーパークに行くということはそれだけで一大イベントだ。新幹線や宿泊施設の予約があるので、ディズニーの下調べなんか誤差だよ誤差と言いたくなるのだが、首都圏在住者にしてみればこういったちょっとしたシステムの変更でも精神的負荷が大きくなるのかもしれない。
・チケット値上げ
チケットの金額は上がった。すると、「どうせ行くなら楽しみ切らなければならない」というプレッシャーが生まれる。システム複雑化との合わせ技でハードルが高くなっているというきらいはある。
・オタクが「コミケは戦場」とか言いたがるやつ
あるいは理解している自分上げの類か。
コミケに行くには事前の情報収集などの高度な能力が必要で云々……などと言っている人がたまにいる。いやいや、ただの買い物だよ。大人はみんなそれやって生きてるんだよ。
コミケ参加者のこの自負やら連帯感というのはイベントの民度を上げるのに一役買ってるのでわざわざ否定するものではないが、他のイベントに来れば、オタクの民度なんか大したもんじゃないとわかると思う。バレンタイン商戦で「風呂入れ」って言われてる臭い奴はいないのだし。
・ディズニーから足が離れた要因をシステムのせいにした方が気持ち良い
自分の不快感の原因を合理化したり、他人のせいにして叩く快感というのも無視できない。
単に飽きたとか、金銭的に厳しくなったとか、昔からディズニーが嫌いだけれど多数派の娯楽として押し付けられていることに辟易しているとか、そういう人が何かしら理由を付けるのに、難しくなったシステムというのは理由付けとしてうってつけだ。悪いのはディズニーの側であって、自分の側では無いことにできるのだから。
○結論:普通に楽しめる
新エリアを除けば、すべてのアトラクションは予約無しで普通に並ぶだけで入ることができる。スマホを使ったアトラクションの予約は、スマホを日頃から使っている+ファストパス時代の来場経験があれば、基本的に問題ない。
大人でこれが難しいと感じる人は、老化が始まっているのではと心配になる。オンラインショッピングや、eチケットの使用なんてのは、現代社会では必須のスキルであるのに。
一方、スマホアプリ中心のシステムは、クレジットカードやスマホが自由に使えない小中学生が友達同士で行く場合は不便があるため、新規層の取り込みという点で問題ではある。
個人的にはアフターコロナのディズニー体験は非常に快適なものだった。2万円ぐらい握りしめて行けば、今も国内最高のエンタメを楽しむことができる。2万円ぐらい握りしめる必要はあるのだが。