万博のチケットの売れ行きが芳しくない原因が、万博のチケット購入の難しさにあると指摘されている。
自分の分のチケットを購入し、友人や家族の予約の手伝いもして複数回このシステムを触った上で言うが、万博のチケット購入・パビリオン予約の難易度はイカれている。サイトを使用している全てのタイミングで不快を感じるという凄まじいシステムだ。
もちろん、真っ当な知能のある大人であれば、チケットを購入することが不可能であるとまでは言わない。例えるならば、役所に行く用事の手間に近い。Webサイト上の不親切な説明を読みつつ、諸々の書類をどうにか揃え、役所に書類を持って行ったあとに不備でつっかえされる、あの感じだ。
「万博のチケットって複雑なんでしょ」とニュースでだけ見聞きした人はぜひとも触ってみてほしい。本当に。感動するから、あまりのクソ具合に。
金を払ってまでクソを体験したい人は少ないと思うので、金を払ってこのクソシステムを使っている私が、チケット購入における難所を余すことなく解説したい。
①万博IDの作成
②チケットの購入
③来場日時の予約
④パビリオンの予約抽選
①万博IDの作成
・利用規約
ちゃんと利用規約の文面をスクロールして読まないと同意ボタンが押せない丁寧な作りになっていて一瞬戸惑う。しかし、そういうサイトは他にもたくさんあるので、気を取り直してスクロールしていくと、個人情報保護方針の文面が不穏である。しっかり文章を読ませる作りであるだけに一層目立つ。

個人情報取得の範囲が広すぎるのではないか、と国会でも議論になっている。実際は常識的な範囲でしか使わないだろうと信じたいのだが、文面上は非常に個人的な事柄を外国の政府に提供することが可能になっているので早々に不安になる。
・万博IDログインの本人確認
この万博IDサイトの地味な難関は本人確認である。本人確認には3つの方法があり、生体認証・アプリによるワンタイムパスワード・メールによるワンタイムパスワードが使用できる。
高齢者などパソコン・スマホの操作に慣れていない人であれば、二段階認証させられること自体に戸惑って購入から脱落するかもしれない。
この本人確認は、複数の端末からログインするときにその鬱陶しさを遺憾なく発揮する。
最初にスマホから登録を行って指紋での生体認証を選択した場合、次回以降パソコンでログインしようとした場合にも生体認証を要求してくる。しかし、スマホと異なり、多くのパソコンには指紋を認証するデバイスがついていない。ログインしたい場合は本人確認方法を変更する手間が発生する。
スマホでのみサイトにログインする人は生体認証を、パソコンとスマホを併用する場合はメールによるワンタイムパスワードを選ぶことを私は推奨する。
が、この本人確認はサイトにログインするたびに常に必要なので、ログインするたびに毎回メールが届く羽目になる。クソ。来場日時やパビリオンの予約をする際も、抽選結果を確認するのにも、とにかくログインするたびに銀行アプリ並みのセキュリティが求められてイライラする。
また、スマホで操作している場合でも生体認証ができなくなるという細かな落とし穴が存在する。具体的には、メール内のリンクから万博サイトにアクセスした場合、メーラーのアプリ内でブラウザが起動した状態では生体認証が有効にならない。機械に弱い人間はこのような非常に地味な方法で脱落していく。
②チケット購入
現在はチケット購入時に来場予約を同時に行うかどうかの選択がある。来場予約をせずにチケットを単体で購入すれば、以後の手続きは一般的なECサイトでの決済と同様であり、簡単だと言える。
③来場日時予約
・そんなに早くに予定を決められない
チケット購入の段階で来場日時予約を促すようなUIになっているが、予定を決められない人間にとっては購入の大きなハードルになっていると思う。

来場日時予約は、来場する日の半年前から先着順で申し込むことができる。半年も前から予定を立てられる人間は少数派である。予約が埋まっていなければ半年前ぴったりに予約する必要はないが、後述するパビリオン予約を考えると2か月前が実質的な来場日時予約のリミットになる。この点が万博に行く気軽さを大幅に損ねている。
・来場日時予約の使いづらいUI
それでもどうにか予定の見通しが立って、来場日時予約をしてみようと思ったとする。するとここでクソなUIに苦しめられることになる。
例えば4月のチケットを購入しようと、カレンダーの日付をクリックしてみる。しかし、画面はうんともすんとも切り替わらない。

一番下までスクロールすると、「続けてチケットの種類と枚数を確認する」のボタンが見えるが、これを押しても先に進まない。
実は、日付をクリックすると、下に来場希望時間の各時間帯が表示されるようになるのだ。この画面がかなり縦に長いせいで、日付をクリックしたタイミングでは来場希望時間の表示の変化が見えない。日付をクリックしたら自動でスクロールして画面が移動するとかそういう心配りも無いので気付きづらい。

正しくは、
1.カレンダーから日付をクリックで選択する
2.来場希望時間をクリックで選択する
3.「続けてチケットの種類と枚数を確認する」のボタンを押す
という手順である。
こう書くと難しくないのだが、デザイン上、選択すべき箇所がボタンになっていないため、どこをクリックすればいいのかわからにくくてイラつくのである。
・交通機関の指定
来場日時予約の東ゲート・西ゲートの選択は、そのまま移動方法の選択に直結している。チケットを買う段階で、交通手段を予め確定させておけという高いハードルを客に要求してくる。
というのも、万博会場である夢洲は海に浮かぶ埋立地の島であり、交通手段が非常に限られている。そもそも輸送能力に限りがあるため、来場日時予約をさせて入場者の数をコントロールしようという話なのだ。

今でこそ各種交通機関の予約が開始しているが、来場日時予約が可能になった2024/10/13当時、交通機関の予約が始まっていなかった。半年前の来場日時予約の時点で交通手段を決めさせるという無茶を客に強いておきながら、つい最近になるまで交通機関側の情報が全然出ていなかったのである。
万博開幕が50日後に迫る2025/02/22時点でもなお、移動手段の予約方法がマトモに記載されていない。駅シャトルバスや自家用車の予約は開始されたが、船の「空き状況の確認、事前予約はこちら」というリンクをクリックしても、その先のページには事業者の紹介がどこにもなく、予約サイトにたどり着けない。中長距離・空港バスによる移動方法はまだページが作成されていない。ビビる。本当にビビる。

④パビリオンの予約抽選
・パビリオンの検索性がおかしい最悪のUI
パビリオン予約では、第1~5希望までのパビリオンを入力する必要があるが、パビリオンの選択が非常に疲れる。

パビリオン選択画面に遷移すると、初期状態ではこのように何も表示されておらず、「検索してください」と表示される。指示に従って検索ボタンを押すと、規模やジャンルを問わず、すべてのパビリオンが検索結果に表示される。
この検索結果は10件までしか一度に表示されないため、続きを表示するために「もっと見る」ボタンを押す必要がある。数十件のパビリオン情報をすべて見るために、何回も「もっと見る」ボタンを押して下にスクロールする羽目になる。スマホで検索すると、どんどん縦長になっていく画面に軽く殺意が芽生える。

絞り込みのプルダウンを押しても、「パビリオン」「イベントなど」のわずか2種類の属性しか選択することができない。検索欄はあるが、こっちはそもそもどのパビリオンが予約できるのかわからない状態なので単語での検索が出来るわけがない。例えば、多くの国内パビリオンは予約可能になっているが、海外パビリオンでは予約を受け付けていない国の方が多い。が、これらはこのクソUIのパビリオン選択画面を見るまでわからないことだ(厳密にはビジターズサイトで予約対象が確認できるが、誰もビジターズサイトに辿り着けない)。
なんなら、パビリオンの展示内容についてここに初めて具体的に書いてある情報というのもあって、こんなクソUIでもパビリオン選択画面の説明文を読まないとパビリオンを選ぶ材料が無いのである。
せめて、プルダウンメニューで海外パビリオンや民間パビリオンなど、パビリオンの属性ごとに検索できるようにしておいてほしい。車いす用のコースも分けて検索させてほしい。各パビリオンが通常コースに加えて車いす用コースを用意した結果、検索結果の画面の長さが倍になってしまっている。
スマホだとあまりにも見づらいためパソコンで操作したくなるのだが、前述した本人確認のせいで、パソコンでのログイン時に指紋認証が求められるというトラブルがここで発生する。
・複数枚のまとめて抽選
パビリオン抽選予約を複数枚のチケットに対して同時に行える「まとめて抽選」機能があり、これは入力時にとても便利な機能なのだが、その機能の存在に気付きづらいというUI上の軽微な欠点がある。
特に、ホーム画面では「まとめて予約・抽選に申し込む」というリンクが画面の下の方にあるため、マイチケット画面から申し込みを行う場合に比べて、まとめて抽選の存在に気付きづらい。
まとめて予約と書かれたリンクから予約を開始すると複数枚分の予約が、それ以外のリンクからパビリオン抽選予約に進んだ場合は1枚単位で予約が実行されるが、こういう画面遷移の仕様自体があんまりイケてない気がする。たとえば、ディズニーランドのアトラクションの予約では、対象チケットを必ず最初に選択させることでこの問題を解決している。
・まとめて抽選を実行してもグループ抽選がされない
ここまではパビリオンの入力が面倒という話だったが、ここでは抽選がマトモに行われていないという衝撃の話をしたい。
これは超早割の先行抽選の発表時に私がTwitter上で確認した事象であるが、まとめて抽選を選んだにもかかわらず、グループ内で別々のパビリオンに割り当てられてしまったという人が複数人確認できた。
子連れの家族で、お子さん1人だけ別のパビリオンになってしまった方がいた。この人は仏のような心の持ち主で非常にポジティブに振る舞っておられるが、正直言ってキレていいところだと思う。
おっしゃ〜、大阪万博、開幕日の4/13の来場日時予約、できた!
— lucky_iku (@ecojima_yoshio) 2024年10月9日
あとは、イベント抽選で、adoのライブを当てるのみ😊
ありゃ?家族4人で同時にエントリーしたのに、なぜか大人2人&小人1人が電力館、小人1人がオーストラリア館で予約って!
次の2ヶ月前抽選で、入れ子で当てるしか😆 #大阪万博 #expo
まとめて抽選を選ばないと人数×第5希望を埋めるのが面倒臭すぎるため、彼らが操作を誤ってまとめて抽選を行わなかったという可能性は低く、抽選のシステムがラリった仕様になっていて、まとめて抽選を無視してチケット1枚ごとに抽選が実行されているのではないかと疑われる。
(2025/02/26追記
超早割特別抽選でグループがバラバラになった人から情報いただきました。協会に問い合わせたところ、まとめて抽選で登録した後にパビリオン抽選希望の再入力をしたことでまとめて抽選が外れていることが原因であり、補填として超早割の追加抽選が実施されたそうです。
つまり、「まとめて抽選」自体は機能として実装されていたものの、まとめられているかどうかの状態をユーザーが認識できない状態になっていたため、入力済みの希望順を確認する時などのタイミングで意図せずまとめて抽選が外れるという現象が発生していたようです。)
・抽選回数が限られているのに容赦なく全落ちする
パビリオンの事前の予約抽選は、2か月前・1週間前・3日前までと期間を区切って3回行われる。第5希望まで入力することができるが、各回でパビリオンは1つのみしか当選しない。
落選した場合、その回ではパビリオンの予約が1つも取れない。時間で区切った抽選方式を取っているせいで、落選した場合にその埋め合わせをすることができないのだ。これが、2か月前から準備した、かなり万博に期待を寄せている側の人間の気持ちをバキバキに破壊してくる。
4/13の開幕日は、現状で最も混雑している日になっているため、パビリオン予約で全落ちした報告が散見される。特にAdoのライブを第1希望にした人で顕著だ。
開幕日にはAdoのライブが開催されるのだが、このライブもパビリオン・イベント予約抽選の対象だ。Adoのライブに行きたい人は必然第1希望にAdoのライブを選ぶことになる。ところが、4/13はライブ抜きでも混雑しているため、人気パビリオンは第1希望者のみで予約枠が埋まってしまっている。倍率の高いAdoを第1希望にしてしまうと、それに落ちた場合に、第2希望以下に設定したパビリオンでも落選してしまうリスクが高いのである。
要するに、混雑している日では第1希望以外がマトモに機能しない可能性が高い。
来場日時予約で行く日の混雑状況を確認したうえで、第5希望は不人気そうなパビリオン・夜遅い時間帯などのかなりユルい滑り止めを選んでおいた方がよさそうだ。各パビリオンの人気や枠の数が全く読めないため、ここらへんは超能力が必要になってくるのであるが。
・パビリオン情報が無い・見づらい
パビリオンを予約しようにも、各パビリオンの情報がなかなか見づらいというのも困るところだ。
実は万博のパビリオン情報を確認できるサイトは2系統ある。
メインサイト(https://www.expo2025.or.jp/)
ビジターズサイト(https://www.expovisitors.expo2025.or.jp/)
YahooやGoogleなどの検索エンジンで『万博』と検索して上位に表示されるのはメインサイトの方だ。メインサイトには多くの情報があるが、必ずしも客向けの情報ばかりでなく、企業で言うところの会社概要みたいなページが含まれている。
そこで、来場者向けの情報だけを集めたビジターズサイトが用意されている。ところが、多くの人はこのビジターズサイトにたどり着けないと思う。
実は、メインサイトのトップページからリンクをたどるとビジターズサイトに移動することができる。画面のどこから移動すればよいかわかるだろうか。

答えはここだ。

文面がアプリの紹介になっているせいで全くわからないが、いちおうこれがビジターズサイトへのリンクということになる。
大多数の人間はビジターズサイトに辿り着くこと自体が難しいが、更にイカれてるのは、このビジターズサイトもあんまり使いやすくないというところだ。アプリと内部構造が同じなので、アプリをわざわざダウンロードした場合もWebサイトと同じものが表示される。
なぜパビリオン検索のデフォルトをテキストボックスでの検索のみにしてしまうのか。パビリオン種別とユニバーサルサービスの重要度がどうして詳細検索で並列なのか。
メインサイトのマップはいつまでたってもラフイメージのまま更新されず酷い状態で放置されているが、ビジターズサイトのマップ(https://www.expovisitors.expo2025.or.jp/map)ではパビリオンがどこに配置されているのかようやくわかるようになった。だが、かなり拡大しないとパビリオン名がわからない。実際にリンクから確認してみてほしい。マップ1つでどうしてこんなに使いづらいのかわからない。
まとめ
以上まとめると、各ステップで以下の3要素が絡まり合ってクソなシステムが発生している。
・とにかく使いづらいUI
・来場日時をコントロールする必要が生じていること自体が問題
・パビリオンや移動方法など、情報の公開が遅すぎる
客に数か月前から予約をさせたうえで、運営側の準備ができてないの本当にどうかと思う。予約を数か月も前からさせて、変更が効かなくなるのでなければ、情報遅くてもここまで腹が立たない。
それでもどうにか、購入なり予約なりはできたのだが、私は60代の親の入場当日のことが心配で仕方ない。親のチケット購入を代行したが、当日までは同行できない。
東ゲートと西ゲートを間違えるのではないか、本人確認に戸惑って入場QRコードがスムーズに出せないのではないか、現地で現金使えない事を忘れやしないか。
万博の主要な客層である中高年には、やっぱり難しいシステムだろうと思うのである。
○おまけ・コンサート観覧希望者への詐欺じみたチケット販売について
開幕日である2025/04/13にAdoのライブが開催されると発表されたのは2024/09/19のことだった。万博開催半年前のタイミングに合わせた発表時期だったと思われる。
WebArchiveで確認できるが、9月の時点では詳細は未定であり、ライブの参加方法の詳細が発表されたのは実に3か月後の2024/12/10になる。
https://web.archive.org/web/20241119200754/https://www.expo2025.or.jp/news/news-20240918-01/
私が問題視しているのは、9月の時点ではAdoのライブの特集ページに、以下のような万博チケット購入の案内があったことである。

これを見ると、Adoのライブは超早割特別抽選のパビリオン・イベント予約の対象だという風に捉えられてもおかしくない。他のイベント、例えば8/24に行われるQuizKnockのイベントは超早割特別抽選の対象だった。
ところが実際は、Adoのライブは2ヶ月前抽選の1回のみパビリオン・イベント予約の対象になるという運用が行われた。つまり、超早割券を買ってもAdoのライブに参加しやすくなるということは一切無かった。それどころか、2ヶ月前抽選はチケットの種類を問わないため、超早割券(6000円)より安価な開幕券(4000円)を買えば抽選に参加できたのである。
また、Adoのファンクラブではライブの先行受付が実施されたが、ファンクラブのチケット価格は万博チケット込みで4000円、つまりこれも開幕券の価格と一緒だった。
これは不誠実ではないか、と私は思う。ライブの情報が載っているページに超早割券の案内があれば、それがライブ参加に必要だと思うだろうと。それを買った人が恩恵を受けられず、まして、後から買った人のほうが安いだなんて。
当初は万博チケットとは別にライブの料金を取るという案もあったんじゃないか。そうでなければ、さっさと超早割特別抽選の対象にして、超早割を購入させる動機付けにするということができたはずだ。
ライブ料金を取りたいから色々考えたけれど、結局はパビリオン抽選のシステムを使わないと来場予約と紐づけられないから、ライブの料金を取るのを諦めたんじゃなかろうかと、私は憶測する。
こういうことがあるので、色々情報が出てくるまでは、万博に行きたい人でもお金を払うのはちょっと待った方がいいのではないかな、と思ってしまう。どうせ企業割当分のチケットがタダでバラ巻かれるよ。