バレンタインの催事場から、100%チョコレートカフェが姿を消したので

遅かった、と思った。

www.fashionsnap.com

 

2017年12月26日、明治100%チョコレートカフェが閉店した。

ニュースを見てすぐに買い占めを試みようとしたのだが、発表の時点で既に製造中止していたらしく、チョコレートは売り切れてしまっていた。

 

大好きで大好きで何度も足を運んだカフェだった。

就活で明治本社に行く際は必ず立ち寄った。(そして落ちた)

 

閉店のニュースを聞いた時もショックだったが、どこのデパートの催事場を回っても100%チョコレートカフェのブースが無いのを見て、ようやく、一つのブランドが終わってしまったのだ、という実感が出てきた。まるで、葬儀がひとしきり終わった後、がらんどうの家に帰ってきた時のように。

 

とはいえ、全く予想できなかったことでもない。

ソラマチ店の閉店が早かった時から不安だったし、明治ザ・チョコレートシリーズの好評があっても100%チョコレートカフェがさほど顧みられることもなかった。むしろ、ザ・チョコレートのブランドが売れたことで、そこに100%チョコレートカフェが合併していくようなイメージなのだろう。

 

www3.nhk.or.jp

 

明治ザ・チョコレートでバズったニュースと言えばこれ、NHKニュースの「あなたの年代がターゲットではない」だろう。

これがSNSで美談として取り上げられ、上司の姿勢が古いだのなんだのケチつけられているのは中々モニョモニョするところがある。

いやだって、初年度コケにコケたのである。

mainichi.jp

こちらの毎日新聞の記事のほうが、最初の商品の失敗が大きく取り上げられており、わかりやすいと思う。

こっちの記事のパッケージデザインを見たことのない人は多いんではないだろうか。だって、流行らなかったんだもの。

本郷三丁目のまちおかの店頭に、初代ザ・チョコレートが山盛りになっていたのがいまだに記憶に残っている。見切りで定価の半額になった香るカカオを10箱ほどまとめ買いしたものだ。

あの失敗があれば、慎重論が出るのはもっともだ。それでも諦めなかった姿勢は確かに美談たりえるし、パッケージの一新による大ブームも一層鮮やかに写る。

でもそれだって、良いものだから多少高級でも受け入れられて当然、って話でもないのだ。キリン別格生姜炭酸とか、あれも既存商品のリラベリングをして大々的に売り出したと記憶しているけれどウケなかったし。私の大好きな朝ごはんたりてる?も消えていったし。

流行ったものが流行る。そういうものだ。

 

 

さて、明治ザ・チョコレートで、カカオによるフレーバーの違いを楽しむことを知った人々は多いのではなかろうか。そういった人におススメなのが、100%チョコレートカフェのシングルビーンシリーズである(閉店したので当然、もう無い)。

 

100%チョコレートカフェで売っていたチョコレートタブレットは56種類だが、そのうち01~22番までの22種類はシングルビーンの産地別チョコレートである。

この産地別チョコレート、それぞれに味わいが異なり、これの食べ比べが大層楽しいのである。豆とローストの具合でこんなに変わるのか~、と感動するのだ。

私が食べたことがあるのは23種類で(常に販売されているのは22種類だが時々メンバーチェンジが起こるので総数だと22を超える)、この23種類ならばブラインドテイスティングでどれを食べているか当てることができる。

あ、もうちょっと謙虚になろう。味のハッキリした半分ぐらいは確実に当てられる自信があるが、残り半分は「これかこれのどっちか」までに絞れるぐらいです、生意気言ってすいませんでした。

 

 

味の違いがハッキリわかるチョコレートを以下に紹介していく。ぜひ食べてほしい(もう無い)。

 

・ガーナ

食べ慣れたスタンダードフレーバーなので、特に抵抗なく受け入れられる万人向けの味。ホットチョコレートにすると、シナモン様の匂いがクンと上がってきて、食べなれた味の奥に複雑な味わいがあることに気付ける。

 

・スルデラゴ

ナッツのフレーバーが強烈。ピーナッツチョコ食べてるんじゃないかな、と思うほどなのだけれど、これでカカオだけだというのだから驚き。甘苦く、最後に残る苦さはピーナッツの渋皮を思い起こさせる。

 

コスタリカ

ぶどうのような、重たい甘みが走った後に苦さが追いかけてくる。ぶどうと書いたけど、ぶどうじゃないかもしれない。いやでもやっぱりぶどうな気がする。レーズン食べたあと、口に残るような味。褒めてるか怪しい表現になってきた。

 

エクアドル

花のような、お線香のような、華やかで不思議な香り。最後には軽く苦みが残る。香りを強烈に味わえる一枚。

 

・ジャワ

男性向けの香水のような、官能的な香り。と私はかつて表現していたのだが、グルメな後輩が「牧草の味がします」と言ってから、もうそうとしか思えなくなってきた。彼女は牧草を食ったことがあるんだろうか。よく言えば、野趣あふれる味と言ったところ。

 

・エルラモナル

万人受けする、爽やかにまとまった味のチョコレートだ。日本酒のような後味が楽しい。シングルビーンを食べるのが初めてなら、1番に試してほしいチョコレートである(もう無い)。

 

・ハワイ

酸味の強いチョコレートだと、メキシコやマダガスカルもあるんだが、その中でもハワイが最高。ハワイ is forever. (もう無い)

このハワイが無かったら、100%チョコレートカフェにはハマらなかったかもしれない。それぐらい、強烈な体験だった。

単に酸っぱいというのではない。香りと相まって、オレンジの果実のようなフルーティーさなのだ。これチョコレートだよね。オレンジピールじゃないよね。うんうん。

ハワイ土産のマカデミアチョコレートとかって、もっとピンボケた甘さのイメージだったのだけれど。作り方の問題なのかしら。食べる度にこんなにドキドキさせてくれるチョコレート、ちょっと他には無かった。

 

というわけで、閉店した今では何の役にも立たないチョコレートレビューになった。

いや、まだザ・チョコレートが現役だから。もっと流行れ!Bean to Bar! そしてザ・チョコレートシリーズでいつかハワイが復活する日を待ち続けるぞ!!

 

あ、多分採算が合わないのでハワイが復刻することは無いと思います。